学会賞 2014年度
海洋深層水利用学会2015年度学会賞 決定 (2016年1月20日掲載)
  海洋深層水利用学会2015年度学会賞が下記の通り決定し、研究発表会(久米島大会)にあわせて2015/11/12に授賞式が行われました。。
 
【授与対象および選考理由】
  1. 沖縄県海洋深層水研究所
    「海洋深層水の冷熱エネルギーを利用した亜熱帯環境での寒冷地農作物の新しい栽培技術確立と事業化への貢献」

    〈選考理由〉
    沖縄県海洋深層水研究所では,様々な海洋深層水の利用法について研究を実施してきているが,とりわけ,海洋深層水の冷熱を用いた育苗装置を工夫し,新しい生産システムの開発に取り組んできた.すなわち,海洋深層水の冷熱エネルギーを利用した根域冷却農業により,亜熱帯の沖縄での温帯・亜寒帯農作物の自給の可能性を示し,将来的には,海洋深層水が利用できる世界中の亜熱帯・熱帯環境への展開の可能性を示唆するなど,海洋深層水の利活用のあり方としても,新たな重要な扉を開いた.特に,事業全体の費用対効果を念頭に,現行社会での事業化を実現させている点が注目に値する.また,これらの研究・開発結果を積極的に論文などで発表し,さらに国内外での講演活動も進めて根域冷却栽培技術の紹介・普及・啓発に努めている.このように,同研究所は,海洋深層水の農業分野における冷熱エネルギー利用により,海洋深層水の利活用の新分野拡大に多大の貢献を果たし,さらに今後の展開に大きく貢献するものと考えられることから,学会賞に十分値すると評価された.
  2. 山田勝久氏(株式会社ディーエイチシー 海洋深層水研究所 所長)
    「海洋深層水の有効利用研究及び利活用にむけての新たな取り組み」

    〈選考理由〉
     候補者の山田勝久氏は,海洋深層水の幅広い産業利用に向けて積極的に研究に取組んで来た.まず海洋深層水を原料とした飲料水開発の分野で, Ca/Mg摂取比が虚血性心疾患のリスクと相関することに関心を抱き,これまで研究報告が殆ど無かったCa/Mg比がヒト細胞に及ぼす影響について,細胞活性を指標に研究を進め,Ca/Mg比の増加は,老化した細胞に大きなダメージを与えることを見出すとともに,海水,特に海洋深層水は,この細胞ダメージを軽減させることを見出した.また海水はタブーとされている野菜栽培分野において,海洋深層水が野菜の種の発芽に及ぼす影響を調べ,意外にも多種の野菜が海洋深層水でも発芽すること,身近なカイワレについては水道水よりも海洋深層水の方が生長に優れているという興味深い知見を得た.このように,海洋深層水利用の有効性に科学的検証を行っていることは大いに評価される.また,本学会では,全国大会実行委員長あるいは理事および利用促進委員会委員長として,学会運営にも尽力している.このように,同氏は研究活動のみならず海洋深層水利用学会の運営等に大いに貢献しており,学会賞に十分値すると評価された.

受賞者
沖縄県海洋深層水研究所(兼島盛吉氏)・高橋会長・山田勝久氏((株)ディーエイチシー 海洋深層水研究所 所長)

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