学会賞2022年度
海洋深層水利用学会2022年度学会賞 決定
  海洋深層水利用学会2022年度学会賞が下記の通り決定しました。
 
【授与対象および選考理由】

鈴木 達雄((株)人工海底山脈研究所 代表取締役)
「人工構造物を利用した亜表層水(深層水を含む)による海域肥沃化とその事業性の実証」

 鈴木達雄氏は、天然の海山が亜表層水(海洋深層水を含む)の栄養塩類を生産層に供給し周辺の生物生産性を高めていることに着目し、人工の海山によって海洋生物資源量を増やすことに関して周到な理論検討と実験室実験を重ね、多くの実績を得ている。特に、その成果は社会実装として、水産庁の補助事業としての長崎県松浦沖の海底構造物(マウンド)の建設、長崎県の公共事業として人工マウンドの建設をはじめ、鹿児島県、宮崎県、静岡県などでもこれまでに11 基の人工マウンドを建設または建設中のものに活かされている。さらに2010 年からは、国の直轄事業が加わり、これまでに5 基の人工マウンドが建設あるいは現在も建設されている。
 海洋深層水による海域の肥沃化は、深層水資源利用の大きな目標の一つであり、鈴木氏の業績は海洋深層水の利活用を考える際に極めて有益であり、多くの他学会でも評価されている。これまで成果は、審査付き論文21 編、総説など73 編で公開している。2002 年5月には、(社)土木学会より「海域での食糧生産を目指した人工海底山脈の施工」として環境賞を受賞している。
 海洋深層水を含む亜表層水による人為的海域肥沃化は、世界的に関係者の関心を持たれてきているが、実際の事業にまで進んでいるのは、鈴木氏が提案して実施されている人工海底マウンドにつきる。まさに、鈴木氏は、海洋深層水の富栄養性の利活用のパイオニアである。
 以上のように、鈴木氏のこれまでの活躍と業績は、本学学会賞に十二分に値するものと評価した。

   
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