学会賞2022年度
海洋深層水利用学会2023年度学会賞 決定
  海洋深層水利用学会2023年度学会賞が下記の通り決定しました。
 
【授与対象および選考理由】

沖縄県、沖縄県久米島町、久米島海洋深層水協議会
「沖縄県における海洋深層水の総合利活用による地域社会の活性化と持続性の強化」

 沖縄県、久米島町および久米島海洋深層水協議会は、協同して深層水という地域資源を 生かして安定した各種産業を興し、それらをもとに社会を活性化し持続性を高めることに成功しており、今後の大きな発展も期待される。 特にこれまでの経緯と実績は、次の通りである。
 ハワイ州は、1973 年の第一次石油危機で島外からの必須資源の調達に強い危機を感 じ、州立ハワイ自然エネルギー研究所(NELHA)設立し、以来、地域資源である深層水の 研究と利用技術開発を進めて来た。同じ島嶼で成り立っている沖縄県も同様の危機感を強 め、県の企画開発部が関連情報を収集・整理し、1995 年 7 月には、当時の大田昌秀知事 が NELHA を訪ね、ダニエル所長に沖縄県の深層水取水適地の選定協力を依頼した。ダニエル所長は、複数の候補地の中から沖縄県の深層水取水適地として久米島の真謝地区を推薦した。その後、沖縄県企画開発部企画調整室を中心に、NELHA と同じく海洋温度差発電 (以下、温度差発電)の実現を視野に入れ、深層水取水深度は 612mに決定した。温度差発電の実証のために、取水量は表層・深層ともに我が国最大となる日量 13,000トンとなった。深層水などの利活用では、県の農林水産部が持続的な水産技術の研究開発、商工労働部が再生可能エネルギーの研究開発支援、そして久米島町が各課を上げて産業利用・地域振興の推進・大規模化構想・対外発信、さらに久米島海洋深層水協議会が民間での研究開発から商用迄の幅広い展開・大規模化構想・地域貢献に努め、沖縄県、久米島町、民間の三者が相互に協同・役割分担してそれぞれ地域特性を生かした新規産業を生み卓越した成果を上げた。
 主な業績として、研究所が技術開発したウイルス汚染のないクルマエビ稚仔生産と深層水の冷熱利用で安定したクルマエビ養殖生産が可能となり、深層水の清浄性と低温性を利用したウミブドウ生産、深層水の清浄性などと沖縄地方の特産薬用動植物を利用した化粧品類などで、新規事業が興り、年間 25 億円規模の売り上げを達成している。深層水という地域資源を生かして競争力のある独自の産業が複数誕生し、社会の活性化と自立性を高め、それは同時に持続性の強化も生んでいる。さらに 2013 年からは、県の事業として100kWの温度差発電が世界で初めて連続運転に成功した。世界初のカキの陸上完全養殖をはじめとした新規事業希望が島内外(沖縄県以外も含め)に多数あり、今後、日量10 万トンの深層水の需要の見込まれることが内閣府の調査から明らかになっている。 以上のように、沖縄県、久米島町、久米島海洋深層水協議会のこれまでの活躍と業績は、本学会賞に十二分に値するものと評価した。 。

   
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