■海洋深層水利用学会発足20周年記念講演会報告〈事務局〉
海洋深層水利用学会発足20周年記念講演会報告

安永 健(海洋深層水利用学会 事務局長)

 「海洋深層水利用学会発足20周年記念講演会」が2018年5月24日(金)に、東京海洋大学品川キャンパス白鷹館2階多目的スペース1において開催されました。講演会の概要は以下のとおりです。

【日時】 2018年5月24日(木) 15:00-17:30

【場所】 東京海洋大学品川キャンパス白鷹館2階多目的スペース1

【開催状況】
開会挨拶
(15:00-15:30)
海洋深層水利用学会会長 高橋正征
第3期海洋基本計画について
(15:30-16:30)
内閣府総合海洋政策推進事務局局長 羽尾 一郎 氏
離島地域における海洋深層水を活用した地域活性化可能性調査について
(16:30-17:30)
内閣府沖縄総合事務局経済産業部商務通商課 野原 貞夫 氏

【参加状況など】

 本記念講演は、本学会発足20周年を記念して開催した講演会で、高橋会長による講演者の紹介を皮切りに、海洋深層水に関連した2件の講演が行われました。講演会では、本学会の会員外の方を含め総数72名の方が聴講し、非常に盛大な講演会となりました。
 1件目のご講演は「第3期海洋基本計画について」羽尾一郎局長自ら登壇頂き、第3期海洋基本計画についてご説明頂きました。第3期基本計画は、平成25年4月に策定された第2期計画を改訂し、5月15日に閣議決定しています。講演当日は、閣議決定から10日に満たない状況でした。「新たな海洋立国への挑戦」と「総合的な海洋の安全保障」を軸に、今後の海洋の産業利用の促進や海洋人材の育成など、海洋基本計画の構成について説明頂きました。本学会で特筆すべきことは、海洋産業利用の拡大として、離島における“海洋深層水等”の地域資源を活用した産業の振興とともに、再生可能エネルギー利用の促進を図ることが謳われていることです。本学会では、2017年7月28日NPO法人海ロマン21と連名で第3期海洋基本計画の策定に向けた提言を内閣府海洋総合政策推進事務局に提出しており、この提言が反映された内容となっています。講演では、この海洋深層水利用について、開発計画の作成などの活動の見える化が求められていることに言及されました。
 2件目のご講演は「海洋深層水を活用した地域活性化可能性調査結果について」内閣府沖縄総合事務局の野原様に登壇頂き、久米島における海洋深層水の産業利用の現状と課題、および取水排水能力の拡大における経済効果の見込みについてご説明頂きました。その結果、既存企業の深層水需要の拡大および新規企業の久米島への進出検討が10社以上確認され、具体性の高い事業計画が有ることが紹介され、久米島内の経済効果を費用対便益法で評価すると、便益は16年目には費用を上回り、45年間の評価期間全体では2以上となること、直接雇用創出効果が久米島町全体の就業人口の11%に上ることが報告されました。
 海洋深層水利用学会としても、より一層の海洋深層水の発展のための機宜を逸しないよう、新設した総合戦略検討委員会を中心に、開発計画の作成および実行を行う必要があると考えます。今後、各取水地での活動に留まらず、海洋深層水利用学会として結束し、見える結果を出すことが求められています。今後、会員の皆様においては、本学会の活動にご理解、ご高配を賜り、お力添え頂きたく、何卒、ご指導・ご鞭撻のほど、宜しくお願い申し上げます。
 末筆ながら、講演会の開催にあたり、高橋会長を初め、井上理事、池上理事によって講演者の調整などご尽力頂きました。ここに記して心より謝意を表します。羽尾局長においては、閣議決定間もない時期であり、直前までご本人の登壇が決定しない状況であったにも関わらず、ご講演を引き受けて頂きました。野原様は遠方からご足労頂き、ご講演頂きました。ここに、記して心より、感謝申し上げます。また、事務局として、講演当日は十分な心配りが出来ていなかったことを心よりお詫び申し上げます。

図1 会場の様子 図2 羽尾局長講演の様子 図3 野原氏講演の様子

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