タラソテラピー(Thalassotherapy)
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 「タラソテラピー」とは、ギリシャ語の「Thalassa(タラサ)=海」と「Therapiea(テラピー)=治療」を組み合わせた造語で、1869年にフランスのボナルディエール医師が命名したものである。海水が人体に効果的であることは、ヒポクラテスの時代から経験的に理解されてきたが、フランスの自転車競技のチャンピオン、ルイゾン・ボベが骨折障害をタラソテラピーで克服したことから、医学界だけでなく社会的にも注目を集めることとなった。
 このような背景のもとに、1961年フランスの最高裁判所及び厚生省は、「タラソテラピーとは、海水・海藻・海洋性気候の持つさまざまな特性を利用して病気の治療、予防、健康増進に役立てるものである。」と定義している。現在、日本で使われている「海洋療法」という言葉はタラソテラピーの邦訳で、全くの同意語である。 
 タラソテラピーの施設は、フランスを中心に欧州各地に100ヶ所以上の施設が展開している。日本では平成4年、三重県鳥羽市に本格的施設「タラサ志摩」が開業して以来、富山県滑川市に海洋深層水利用施設「タラソピア」が開設されるなど、最近、全国各地に開設の機運が高まっている。
 療法の種類には、海水プールでの運動療法をはじめ、ジェットシャワー、ハイドロマッサージ、海藻パックなど多数の項目があり、原則として医師の処方によりこれらの項目を組み合わせて治療が行われる。その効用としては、リュウマチ性疾患、外傷性疾患、皮膚性疾患など広範囲にわたっており、フランスでは健康保険も適用されている。また、美容やシェイプアップにも効果があり、その実績は高く評価されている。
 施設のタイプとしては、タラソテラピー病院・リハビリセンター、健康増進施設、いわゆる美容施設があげられるが、わが国ではタラソテラピーがまだ医療として認知されていないので、健康増進施設でのタラソテラピーが中心となっている。
 今後の普及と医療としての認知を受けるための課題としては、効用に対する多くの症例を集め医学的検討を行うことであるが、そのためには1、2泊の体験型だけではなく、最低1週間程度滞在も必要となろう。また、富山県滑川市の「タラソピア」での海洋深層水利用のように、フランスにはない日本独自の付加価値をつけたタラソテラピー施設が開発されることが期待される。
 
(文責:村瀬 暁  第7巻、第1号、2003年)
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