にがり(Bittern)
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 「にがり」は、広辞苑によると「海水を煮つめて製塩した後に残る母液。また、粗塩の貯蔵中に空気中の湿気を吸い、とけて分離する液状苦味質をもいう。主成分は塩化マグネシウム。豆腐の製造に用いる。苦塩。くじゅう。」と定義されている。
「にがり」は大豆タンパク質を凝固するため、古くから、豆腐を固めるための凝固剤として用いられている。凝固剤に用いられるにがりは、食品添加物に分類され、別称「粗製海水塩化マグネシウム(塩化マグネシウム含有物)」ともいわれ、「海水より、塩化ナトリウムを析出分離し、その母液を冷却して析出する塩化カリウム等を分離した残りのものである。主成分は塩化マグネシウムである。」と定義されている。
 換言すると、「にがり」は海水から塩を取った後の液体であり、その主成分は塩化マグネシウムで、その他海水中に含まれるミネラルが含まれている、ということになる。
 上述したように、「にがり」は、豆腐用凝固剤としての使用が最もよく知られているが、最近では、料理に用いると、味にコクや旨味が出たり、煮くずれを防ぐことができる等の効果が認められることから、調味料としても利用されている。
 一方、「にがり」が花粉症対策、生活習慣病予防、アトピーの治療、ダイエット、便秘改善等に利用されるようになっているようであるが、まだまだ未解明な部分が多く、今後、科学的に解明されていくことが望まれる。
 昔から「にがり」は我々の生活に密着し、種々の用途(食品、食品添加物、化粧品、雑貨等)に使われている。
 商品として市場に出す場合は、関連する法律を遵守するのはもちろんのこと、使用される目的(食品、食品添加物、化粧品、雑貨等)に応じ、消費者がその商品を見て何であるか明確にわかる商品を提供する必要がある。
 
(文責:安川 岳志  第7巻、第2号、2003年)
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