日本海固有水(Japan Sea Proper Water)
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 日本海の水深約500mから最深で約3700mの海底までの間に日本海固有水と呼ばれる、温度0.0〜1.0℃、塩分34.00〜34.10 psu、溶存酸素濃度210〜260μmol/kgのほぼ均一な水塊がある。もっと詳しく見ると日本海固有水は単一な水塊ではなく、約500m深ぐらいから約1000m深までの上部固有水と約1000mから約2000m深までの深層水、約2000m深から海底までの底層水に分かれる。上部固有水はポテンシアル水温で0.2〜1.0℃程度、塩分で34.04〜34.07 psu程度、溶存酸素で230〜260μmol/kg程度の範囲にある。深層水はポテンシァル水温で0.04〜0.2℃程度、塩分で34.07〜34.08 psu程度の範囲にあり、溶存酸素極小層 (210〜220μmol/kg)で特徴付けられる。底層水はポテンシアル水温0.04℃、塩分34.085 psu、溶存酸素220μmol/kg程度の非常に均一な水塊であり、活発な鉛直混合が行われていることが推測される。
 日本海の4つの海峡(対馬、津軽、宗谷、間宮)は何れも狭く、浅い(250mより浅い)ので日本海以外の海水が直接日本海の深層に流れ込むことはなく、このほぼ均一な海水は海底にまで達する冬季の対流によって日本海自体で作られていることになる。事実、日本海深層の溶存酸素濃度は海表面の飽和酸素濃度の60%以上であり、太平洋等の他の海洋の深層に比べてはるかに高く、酸素に富む表面海水が深海にまで到達していることがわかる。しかし、20世紀半ばより、深層水及び底層水の水温が0.02〜0.03℃/10年の割合で高くなっており、溶存酸素は約1μmol/kg/年の割合で減少している。また底層水の厚さも過去25年で数百m減少している。このことは冬季の冷却による日本海深層への、酸素の豊富な海表面水の沈降を阻害するような気象、海象条件が20世紀後半から顕著になってきたことを示す。最近の研究によれば1000m深位までの冬季の対流によって上部固有水の形成は行われており、その形成域はウラジオストク南東の北緯41度以北の海域である可能性が高いとされている。

(文責:尹 宗煥  第5巻、第1号、2001年)
 
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